よくある質問のなかで、一番多いのが、
「催眠にかかって覚めなかったらどうなるのですか?」
催眠にかかった人を端から見ていると、眠っているようにも見えるし、意識を失っているようにも見えます。
でも、催眠状態は意識を失っているわけでも魂が抜け出してしまっているわけでもありません。
催眠状態は本来、覚めるとか覚めないとかの言い方自体がおかしいのです。
集中が途切れるという言い方が本当なのです。
催眠状態は、無意識が興味をもって集中している状態です。この状態は、子供の頃、遊びに夢中になっている時に似ています。
テレビの催眠術などを見ていると、あたかも本人の意思を無視して催眠術師の言うとおりに行動しているように見えます。でも、催眠術にかかったからといって、どんな暗示にも従う訳ではありません。
深い催眠に入ると理性の力が減少するため、ある程度の暗示には従います。
しかし、
「ビルから飛び降りろ」とか、「自分をナイフで刺せ」
というような生命に関する暗示や、自分にとってメリットのない暗示は一切受け付けないのです。
人間の深い意識の中では生命レベルの防衛本能がいつも働いています。人間の心に自分では気づかない心、つまり、無意識があり、
その無意識には習慣を作り出す浅いものから声明を守る深いものまであるとユングも言っています。
つまり、催眠状態が深くなればなるほど、術者のどんな暗示にしたがうのではなく、催眠状態が深いほど、被験者は、自分を大切にするのです。
また、
「暗示をかけられたら術者が解除するまで永久に解けないのではないか?」
という不安を抱いている人も少なくありません。
しかし、無意識は何か変化があると常に普段の自分に戻ろうとするため、催眠暗示をいれても、被暗示性が覚めてくるとともに暗示は無くなります。
日常生活の中でも、誰かに腹が立つことを言われると、しばらくはその事で頭がいっぱいになります。
しかし永続する事はありません。これも無意識の普段の自分に戻す力が必要ないものとみなし「処理」しているのです。
「催眠術って人を操る、っていうイメージがあると思います。
でも、催眠術では人を操ることはできないんです。
操っているように見えますが、実は自己催眠に入っているだけなんですね。
催眠術師は自己催眠に誘導することしかできません。
ですから、かかりたいと思えばかかればいいし
かかりたくないと思えばかからなくても構いません。
かかれば面白いな、と思えばかかると思います。
怖くなったらすぐに止めますので、いつでも言ってくださいね。